瀬戸山からの手紙を昼休みに取りに行って、そのまま教室に戻ると優子がバタバタと私と江里乃のそばに駆け寄ってきた。

あれから、優子と江里乃は相変わらずで、なんとなく話をしないまま。

このまま来週に持ち越しちゃうのかな、ヘタしたら3学期まで……と想像していた。

けれど、優子から「ごめんね!」と明るく言われてさすがの江里乃も拍子抜けした表情をした。


「江里乃に言われて……すっごいムカついて、勢いで告白してきた」

「……本当に!?」


私と江里乃がハモった。
なにこの急展開。けれど結果は、優子の顔を見れば一目瞭然だ。


「つきあうことになったの」

「うわー、おめでとう! よかったねよかったね!」


自分のことのようにうれしくなって、優子に抱きつくと、「ありがとー!」と優子が飛び跳ねる。

米田くん、優子のことが好きだったんだ。
じゃないと、映画に誘ったりもしないよね。


「そっか、おめでとう、よかったね」


江里乃が静かにそう言って、はしゃいでいた私と優子の動きが止まる。


「……江里乃の、おかげだよ」

「そんなことないよ。優子が好きで、米田くんも、同じ気持ちだっただけでしょ」

「まーそうなんだけどね!」


いつもの優子の調子に、江里乃がくすっと笑った。


「言い過ぎた、ごめん」

「私も、変な嫉妬して、ごめん」

「でも、無神経は言い過ぎだと思う」

「江里乃も、ちょっと思いやりがないと思う」


そう言いつつも、ふたりが笑顔で、私までうれしくて、笑顔になった。