「振られるとき“好かれていると思えない”って言われたけど……好き、だった。だけど、結局最後まで言えなかった。もう他に好きな人がいる人に、言っても困らせるかな、とか、いまさら言っても惨めだなって、思っちゃって」


そう、本当は好きだった。

告白されて付き合って、みんなに冷やかされて恥ずかしくてやっぱり断ればよかったって思ったけど……流されるように付き合うことになったけれど、それでも楽しいと思った。

優しかったし、一緒にいて楽しいと思っていた。

だけど、思っていたのは私だけだった。


「まだ、そいつのこと好きなわけ?」

「え、いや、さすがにもう、それは……結構前の話だし」

「じゃー次から、口にすればいいんじゃね? 前の男のことは、お前のその不器用で面倒な性格わかってやらねえ男だったんだ、て思えばいいんだよ」


さすがにそれはとても自分勝手な考え方じゃないだろうか。なにも考えずに、センパイの意見に流されていた部分もあるし。

……でも、少しくらいは、そう思ってもいいのかな。


「昔のこと引きずってふらふらするところが、流されてるってことだよ」


胸が痛い……確かに、そのとおりなのかもしれない。


「まあ、流されやすいのは確かだけどな。お前強引に言えば大抵断らねえもんな」

「……はい」


この勉強会もそんな感じだったような気がする。
もしかして瀬戸山って確信犯なんじゃないだろうか。