気持ちが軽くなる。
それと同時に、私のことをそんなふうに言ってくれることが嬉しい。相手が瀬戸山だから、余計に。


私が笑顔を見せると、瀬戸山も満足そうに笑った。


「そういや、お前も好きなやつでもいんの？」

「——……な、え？」


好きだな、と思った瞬間に問われたから、大げさな反応をしてしまう。

……なんでそんな話に！？
っていうか、バレたりとか？　え？　そんなこと口走ってないよね！？


「さっき、好きって言えない気持ちがわかる、とか言ってたから」

「あ、ああ、いや、それは……あの、前の、人のときに」


ウソではない、けれど……瀬戸山のことも含まれている、とはもちろん言えるはずがない。


「あー前の彼氏か。センパイだっけ？　振られたとか言う」

「そう……それです……」


なんだか恥ずかしくなって俯く。
センパイの話をするのも苦手だけれど、瀬戸山にこんなかっこ悪い話をするなんて。


「……好きって、言えなかったなあって、思って」


でも、思い出してしまう。
あのときの、気持ちを。あのときの、悲しい気持ちを。私が悪いのはわかっているからこそ、後悔がほんの少し、残ったまま。


「告白されて、断れなくて付き合ったんだけど……、結局前に言ったみたいに、私が自分の意見言わないからわからないって振られちゃったんだよね。好きな人ができたって……。まあ、正直ちょっと前には気づいていたんだけど。同じクラスで仲の良い女の人がいるなーって」


あのときに、素直に口にしていたら……なにか変わっていたかな。