「大丈夫だってー、告白なんてされないから!」

「だから、誤解だって。違うから」


笑って「はいはい」と言っているけれど、絶対信じてないと思う。「違うからね」ともう一度念を押してからふたりで駅に向かって歩いた。

ふたりで色違いのペンを買って、プリクラを撮り、ファーストフードでくだらない話をする。
日が沈むころまで過ごしてから、江里乃と別れた。


ひとりになった電車の窓から外を眺めていると、自分の顔が映り込む。


……この私の、どこが好きなんだろう。

さっきまで整った顔の江里乃を見ていたのに、目の前にあるのは特にこれと言って特長も魅力もない私の顔。


不細工じゃないけど、かわいいとかキレイとか言われることは滅多にない。


背は低めだし、まあまあお肉のついた体。固く太い髪の毛は下ろしているとバサバサになるからお団子にしているだけ。


この容姿にさほど不満は抱いていない。
ただ、客観的に見て、やっぱり、不思議。


カバンから瀬戸山からのラブレターを取り出した。もう穴が空くほど見たけれど、どうしても信じられない。

いつから、どうして、私を?

返事がないことに落ち込むほど、本気のラブレターだった、らしい。このノートの切れ端のしわくちゃのこれが……。


「返事、か」


でも……なんて返事をすればいいんだろう。

瀬戸山のことをかっこいい人だな、とは思っていたけど……そのくらいしか知らない。

おそらくこんな性格の人だ、と勝手に思ってなんとなく苦手意識を抱いていただけだしなぁ。