机の中に入っていた手紙に、さっと返事をして机の中に戻した。

今の気分に不釣り合いな、ばかみたいな落書きが机にあって、ほんの少し心が和らいだ。

『サッカーマン』というしょうもないイラストと、『俺の来世』というもの。
……瀬戸山の落書きかな。

そのイラストの下に『来世が楽しみだね』と小さく書き込んだ。


授業が終わるとそのまま放送室に駆け込む。

……いつもは終わると必ず江里乃が“お疲れ、お昼いってらっしゃいー”と私の教科書をまとめてくれたけれど、今日はひとりで出て行ってしまった。

それも辛い。
だけど、そんなことよりも、今日、江里乃はお昼ごはんどうするのだろうと、そのほうが気になってしまう。

授業が始まるまで、どうしようかと思う気持ちでいっぱいで戸惑っていたけれど……ちょっと前向きになれた気がする。

……多分、瀬戸山のあのくだらない落書きのおかげだ。

江里乃は……ひとりで、教室で食べるのかもしれない。

ひとりきりだったら、と思うと落ち着かなくなる。
こんなところでひとり、なにもなかったかのようにお昼をのんびり過ごせない。


——『自分の意見はっきり言わないよね』


思い出すと、やっぱり少し、気が重いけれど……。

……その前に。
持ってきた一枚のCDを取り出して、瀬戸山が言っていた曲を流した。

この気分にデスメタルなんて似合わないけれど、落ち込んでいるからこそ、いいかもしれない。ちょっと頑張ろう、という気持ちになってくる。

バクバクっといつもより早くご飯を食べて、CDから1曲と、好きなロックを1曲、そしてはやりのJ-POPを2曲かけてから放送を切り上げた。


そしていつものように、リクエストボックスの中を確認する。
さすがに授業が終わってすぐに返事をもらうことはめったにない、けれど念のため。