優子は、気にしているんだろう。米田くんと江里乃の関係を。……別に付き合っているとは思ってないとはいえ、米田くんが江里乃を好きかもしれないって、思っている。

だから、気にしてしまうんだ。たとえ、江里乃が悪くないってわかっているとしても。

私のように——……。


「なに言ってるの、優子」


江里乃が少し、呆れたようなため息をついた。


「私に嫉妬されても、私別に米田くんが好きなわけじゃないんだから」

「……そんなの、わからないじゃない」

「好きにならないわよ、優子の好きな人なんだから。でも、もし仮に米田くんが私が好きだとしても、私には関係ないし、優子に怒られる筋合いもないでしょ」

「……江里乃……」


さすがに口を挟んだけれど、江里乃は気にせず続ける。


「だから、優子は私なんて気にしないでいいの。そのほうが優子も楽でしょう?」

「……江里乃って、誰のことも好きになったことないんじゃないの? 私だって気にしたくないわよ。でも、気になるんだから仕方ないじゃない。嫉妬してしまうんだから、しょうがないじゃない」

「そんなの無意味でしょって」

「……江里乃って、前から思ってたけど、無神経よね」


優子が江里乃を睨みつけて、踵を返した。
周りのクラスメイトがチラチラと私達を見ている。

なにを言えばいいのかわからない。かといってその場を動くこともできず、どうしようかと悩んでいるあいだに、チャイムが鳴り響いた。