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電車に乗って15分、そこからバスで数分。
他愛のない話をしながら辿り着いた瀬戸山の家は、築年数50年くらいの古い、味のある一軒家だった。
そういえばおばあさんと住んでいるんだっけ。
「ただいま」
「おかーえりー!」
瀬戸山が家に入ると、元気な声が響いて、同時にバタバタと駆け寄ってくる足音が聞こえた。
ひょこっと、彼の背中から顔を出して覗いてみると、小さな女の子が玄関でニコニコと瀬戸山を出向かいている。
……かわいい。
大きな瞳に、瀬戸山と同じサラサラの黒髪。低い位置でふたつに括っている。
これが、瀬戸山の妹か。思っていた以上に可愛くて抱きしめたくなる。
「はいはい、お客さんいるから静かにな」
「お客さん? お兄ちゃんの?」
首を傾げた妹とぱちんと目があって、慌てて「お邪魔します」と頭を下げる。
「お兄ちゃんの彼女!? 彼女!?」
「ちげーよ、友達」
「おばーちゃーん! お兄ちゃんが彼女連れてきたよ!」
「話を聞け! で、落ち着け!」
目をキラキラ輝かせて、バタバタと奥に走って行く。それをみて瀬戸山が「ったく」と言ってため息を落とした。
「あ、あの……」
「あーあいつ落ち着きないから。気にしなくていいよ。俺が友達家に呼ぶのも珍しいし、はしゃいでるだけだろ」
……“友達”と“珍しい”という言葉に、なんとも言えない気持ちになる。
嬉しいのか、悲しいのか、よくわかんない。そんな気持ちになることが、一番わかんない。緊張でおかしくなってるのかな。
瀬戸山に「入れよ」と言われて、靴を脱いだ。
ギシっと床が音を鳴らせて、私を歓迎してくれた。