メール画面を見て目が点になる。
家、って……、瀬戸山の? 瀬戸山の家で勉強するの? え? なんで!
いや、さすがにまずいでしょ。……まずいことはないか。いや、でも、行っていいの? いや、行きたくないんだけど! 緊張するし! いや、いやいや緊張することなんてないんだけど。
瀬戸山は江里乃が好きなわけだし。私はそれを知っているわけで。
——いや、でもおかしいでしょ!
どう返事していいのかわからなくて、授業そっちのけでメール画面をじっと眺めていた。
“わかった”と打っては消し、“家はちょっと”と打っては消しの繰り返し。
……なんで、“私”とのメールでもこんなに返事に頭を抱えなくちゃいけないんだろう。
いや、でも待って。
図書館で勉強するとなると……テスト前のこの時期、いつもより多くの人が利用してるだろう。
となると、ふたりで勉強している姿をいろんな人に見られるわけで、そこから根も葉もない噂が広まるかもしれない。
……それは、避けたい!
っていうか、絶対じろじろ見られるし、そんなの落ち着かない。
それに、妹のことがあるのに無理を言うのも悪いよね。
うーんうーんと考えて、『わかった、じゃあ図書室で待ってるね』という返事を送った。
送ってすぐにやっぱりやめとけば! とか結局悩んでいたんだけれど……。