「……いい、けど」
「マジで!? 助かる! ほんっと助かる! えーっと、どうしようか。あ、メルアド、メルアド教えて」
「え? え? え?」
途中で予鈴が鳴り響き、焦り出す彼につられて私も軽くパニック状態に陥った。
スマホを手にして私にアドレスを催促する彼に合わせて自分のスマホを探してみたけれど、教室においてきたことを思い出した。
「んじゃ書いて、あとでメールする」
「あ、はい」
ポケットを探って汚いぐちゃぐちゃになったレシートとボールペンを手渡されて、とりあえず自分のアドレスを書く。
「あとで連絡するから!」
バタバタと教室に戻っていく瀬戸山の背中を呆然と眺めてから、私も慌てて自分の教室に走った。
……なんだったんだろう、一体。
いや、勉強を教えてほしいというのはわかったんだけど、なんで私なんだろう。
首を傾げつつも、とりあえず引き受けちゃったし出来る範囲でやってみようかな。来週からテストだから私も自分の勉強しなきゃいけないんだけど……。
交換で数学とか教えてくれたらいいんだけどな、なんて思ったりする。
瀬戸山からメールが入ったのは次の授業中だった。
『今日7時間目まであるんだけど、お前時間大丈夫?』
『大丈夫だよ。図書室で勉強しとくから。終わったらそのまま図書室でする?』
『妹家にひとりにできねえし、俺んちでもいい?』
……は?