「希美もファーストフードのほうがいいよね?」

「カフェだろ! お前お腹すいてる? すいてねえよな?」

「え、えーっと」

「お前ら押し付けるなよー。黒田さん、なに食べたい?」


3人に一気に問われると……なんて言えばいいのか。どっちも選ぶわけにはいかないし、かといって別の所を選ぶとまたややこしくなってしまいそう。

私の意見なんて求めずに3人で決めてくれたらいいのにー。

オロオロする私をじっと見つめる3人の視線が痛い。
ここは……なんて言うのが一番いいのか……。



「……ハンバーガーも甘いものもある、店、とか、ないのかな?」



そう口にした途端、瀬戸山が盛大なため息を落とした。
……やっぱり、ダメですか。

優子と米田くんが見つめ合って考える。なんだこいつ、とか思われているのかな。やっぱりどっちかに決めたほうがよかったかな。

でも、どっちを選んでも誰かが納得出来ないわけだし……。


「とりあえず、歩いて探そっか」

「だなー」


そう言ってふたりが歩き始める。
あそこは? とか言いながら選んでいて、とりあえず言い争いがなくなったことだけはよかったかも、なんて思った。


「お前、なんでそうなの? なんかないのかよ、食べたいものとか、嫌なものとか」


うんざりしたような顔で瀬戸山が私の隣に並ぶ。
ぶつぶつ文句を言っていて、瀬戸山だけは納得してないらしい。いや、優子たちが納得したとも言えないけれど。