2時間ほどの映画は、瀬戸山の言っていたとおり、アクション映画。あまり期待していなかった映画だったけれど、思ったよりもテンポが良く、あっという間にエンドロールになっていた。


「お腹すいたー。なんか食べない?」

「いいなー俺ハンバーガー食べたい」


ぐいっと背を伸ばしながら優子が言うと、米田くんも同じように言い出してふたりでどこに行こうかと盛り上がる。
ハンバーガーか。なんでもいいけど、そこまでお腹すいてないな。
飲み物があるならどちらでも。欲を言うなら甘いモノが食べたい。

けど、わざわざ口に出したりはしなかった。


「俺、甘いもの食べたい」


私の気持ちを代弁したかのような瀬戸内の言葉に、ふたりは「えー」と声を合わせる。


「なんでー? カフェとか落ち着かないし」

「ファーストフードよりも落ち着くだろ。俺別にお腹すいてねえもん」

「ここは合わせろよセト。別に飲み物頼めばいいだろー」

「えー、行きたくねえ」


……なんて、素直な人なんだろう。
盛り上がっているふたりに、こうもはっきり意見を言えるなんて……。瀬戸山と同じ気持ちではあるけれど、さすがにここまで拒むのはよくわからない。

歩きながらどこにするかともめている3人について行く。
カフェに決まればいいなあと思いつつ、まあ、どこでもいいかなーとも思う。


「黒田は?」

「——え?」


くるっと私の方を向いた瀬戸山が意見を求めてくる。