「ごめん、希美、生徒会室に資料だけ持っていくから、靴箱で待ってて」

「わかったー」


授業が終わると、江里乃が慌ただしく教室をあとにしながら私に声をかける。


「あ、希美ー、今度合コンするんだけど、行かない?」

「合コン? なにするの?」


のんびりと帰宅の準備をしていると、優子が近づいてきて身を乗り出すようにして私を誘う。

合コンなんて珍しい。
行ったことないから興味はある。けど……あんまりそういう場所は得意じゃない。


「中学からの友達が彼女欲しいらしくてさー。5人くらい集めろって。希美もそろそろほら、前の彼氏も忘れてさ」

「……そう、だね。んじゃ、参加しようかなー」


別に前の彼氏のことを引きずっているわけじゃないんだけどな。

でも……あれから1年くらい誰とも付き合ってないし、好きになったりもしなかったし……そう思われるのも仕方ないか。

喜ぶ優子に「また日、決まったら教えてね」と言って教室を出ると、思わず小さなため息が落ちた。

彼氏、か。

今は特に欲しいわけでも欲しくないわけでもない。

前みたいに思うかもしれない、って考えちゃって消極的になっているかもしれないけど、今は今で十分楽しいし、やっぱり好きになった人と付き合いたいし。

って考えると、合コンもいいのかも。
新しい出会いもあるかもしれないし。

無理やりポジティブに考えながら、待ち合わせの靴箱に向かう。