真っ黒な空から止めどなく雨が落ちてくる。

さっきよりも勢いが増した雨粒が容赦なく肌を叩いてくるけれど、それを振り切るように足を動かす。


その途中、ぼくは足を止めて周りを見渡し、見失った仲井さんの背中を探す。


「どこに行ったんだよ。にんべんのナカイさん」


会ったらまず、彼女に文句を言わないと。

前に足が遅いって言っていたあれ、絶対にうそだろ。


全力で走っても追いつけなかったんだけど。


とはいえ、そう遠くには行っていないはずだ。

濡れた制服で遠出はできないだろう。


どこかで雨宿りをしている可能性が大きい。


だけど、この辺りに雨宿りできる場所なんてたくさんある。

仲井さんがどこで雨宿りしているかなんて見当もつかない。


ぼくも一旦、落ち着かないと。

頭に血がのぼったままじゃ冷静な判断もできない。