「……はじめての彼氏がこんな形でできるなんて」
「それもぼくと同じだから! そう、あんまり落ち込まないでくれるかい? しかたがないとはいえ、さすがに傷付んだけど」
「だって、彼氏ができるって、もっとキラキラと輝いているものだと思っていたから」
「あー……なら一応ちゃんと告白しておくべき? 思い出作りには協力するよ」
「べつにいいよ。適当に告白されても嬉しくないし、相手は中井くんだから」
仲井さんは本当に辛らつな子だよな。
すでに仲良くなれる気がしないんだけど。
「元通りになるそれまで、とりあえずよろしく。中井くん」
「こっちこそ、適当によろしくね。仲井さん」
こうして、ぼく達はお付き合いを始めた。
どちらかが想いを告げたわけでも、恋に落ちたわけでもない。
ちょっとした事故で関わるようになってしまった、不思議な関係だ。
誰に言っても信じてもらえないだろう。
ぼくは仲井さんの、仲井さんはぼくの、気持ちが入れ替わってしまった、なんて。
だけど、ゆめでもなんでもない。
ぼくたちは入れ替わった。
今、ぼくの中には仲井さんの気持ちが宿っている。
そして彼女の中には、ぼくの気持ちが宿っている。
⇒【1】