大げさな期待を寄せてくる仲井さんの悪ノリに、ぼくは唇を尖らせてみせた。

なにそれ、と彼女に聞かれたから、どっかの誰かさんのマネだと返事をする。


おかげで特大のバカをもらった。

似ていると思っていたんだけどな。


「リクエストねぇ。なら、ヒマワリなんてどう? 今の話で仲井さんの描いたヒマワリを見たくなったんだけど」

「ヒマワリ?」


「それにお母さんの詩を添えて、仏壇に飾ったらいいじゃん。お母さん、喜ぶんじゃないか?」


お母さんが好きだったというヒヤシンスが描けない理由は知らないけど、仲井さんの夢のはじまりがヒマワリなら、それを仏壇に飾っても喜ぶと思う。

ぼくがそう言うと仲井さんは子どものように目を輝かせて、「やってみる」と、大きく頷いた。


胸が熱くなるのは、彼女の気持ちの表れだろう。ぼくも妙に嬉しくなった。


「中井くんも一緒にやろうよ。せっかくだし」

「じょ、冗談だろ? ぼくが描けるわけ……ああもう、描きたいと思うぼくがいる!絵を描くのはてんでだめなのに! 仲井さんの気持ちのせいだ!」

「ヒトのせいするのは良くないと思うよ?」


「どう考えても仲井さんのっ、笑うなっつーの! こっちは困っているんだって!」


うそ、本当はすごく嬉しくなった。

はしゃぐ仲井さんを見て、とても。