一ページから目を瞠った。
そこに描かれていたのは、どこかの部屋の風景。リビングのようだ。
仲井さん曰く、自宅のリビングらしく、生活感あふれるデッサンが一面を満たしていた。
ページをめくると、何かの漫画のキャラ。
可愛い女子高生が拳銃を持っていた。
次のページはネコ。
ネットの画像を拾って、それを見ながら描いたらしい。三毛猫が大口を開けてあくびをしている。
「あ。これはぼくも知っているキャラだ。少年漫画とか読むの?」
見たことあるロボット少年の絵を指さす。これは今、流行りの少年漫画の主人公だ。
「う、うん。少年漫画とか大好きなんだ。ちょっとオタクが入っているの、わたし」
仲井さんはどこか気恥ずかしそうに唇を尖らせた。
また“ヒヨコ”になっちゃって。
いいじゃん、漫画が好きで。
今どき女の子も少年漫画を読む時代だろ? 男が少女漫画を読むことだってあるし。女の子に比べたら、まだまだ読みにくいけどさ。
ぼくはスケッチブックに視線を戻す。
どのページも仲井さんが時間を掛けて描いたであろう、丁寧な絵ばかりだ。
鉛筆書きもあれば、その上からペンや色鉛筆で色を塗ってある絵もある。
全体的にふんわりとした絵が多いかな。
仲井さんらしい絵がスケッチブックを満たしている。
最後のページをめくると、描きかけの絵が顔を出す。これは花、かな。