「癒し系アヒル女子よりマシじゃん。ヒヨコなら可愛いだろう?」

「そういうことじゃないよ。中井くんのばか! もっとマシなこと言ってよ!」


それを惚れた理由にされるなんて冗談じゃないと、仲井さんが顔を真っ赤にして叫んでくる。

だったら、ぼくに笑顔のひとつでも見せてくれよ。

ぼくは嘘がつけないから、見たことを理由として結び付けるしかないんだって。

ぼくの前じゃ、仲井さんはいつもぶすくれているか、ため息じゃんか!


「お前等、仲がいいな。さすがは“ナカナカ”コンビ」

「“ナカナカ”に仲が良いよな。ほんと」


「そこ! ゼンッゼン上手くねぇからな! コンビじゃねえっつーの!」


仲井さんから逃げながら、ぼくは柳と宮本を睨んで指さす。

二人は「あ、」と、弾かれたように顔を見合わせ、珍しく悪いわるいと片手を出して謝ってきた。

「コンビじゃなくてカップルだったな」

「ごめん、中井。コンビはデリカシーがなかった。お前等はお似合いのカップルだよ」


「そうじゃねえよ! くそっ、揃いも揃って……後で覚えておけよ!」