「澪はオレを怒らせたいのか?」


陽人の声が低くなった。


「怒らせたいんじゃないよ。あたしのこと何もわかってないって言ってるの!」


「・・・わかってないのはどっちだよ」


「え?」


「彼女が病気です。でも、オレの力じゃどうにもできません。ただ見守ることしかできません。1日でも早く治ることを祈ることしかできません。そういうオレの気持ちわかるのかよ!」


「陽人・・・」


「澪がそんなんじゃ病気だって治らない。いつまでも自分は病気だって不幸にひたってろよ!」


「陽人・・・ちょっと待って・・・」


「もういい。澪が来るなって言うならもう来ない」


「なんで陽人が怒るのよ!あたしの気持ちわかってないくせに!」


「わかってないんだろ?ならいらないじゃん。だからもう来ない」


ガタっと音を立てて陽人が椅子から立ち上がった。


「お大事に」


ダウンを掴んで陽人が歩き出す。


「陽人!」


「もう終わりだろ?じゃあな」


パタンとドアが閉まるのをあたしは見ることしかできなかった。