陽人は、あたしがお母さんが死んじゃって辛い時ずっとそばにいてくれた。
いつの事だろう・・・。
ある日、あたしはお父さんにひどい事を言っちゃったんだ。
『お母さんがいたらもっとちゃんとしてくれたのに』
その時のお父さんは寂しそうな笑顔で
『そうだな』
ってだけ言った。
一生懸命、うちの事も仕事もしているお父さんになんて事を言っちゃったんだろうって死ぬほど後悔した。
でも、どっかでお母さんがいたら違ってたんじゃないかって思ってた。
後悔しながら自分は悪くない。
お父さんも悪くない。
死んじゃったお母さんが悪いって思ってた。
いつものお迎えを陽人と待っていた時、元気がないあたしに陽人は
『どうした?』
って聞いてきたんだ。
陽人の優しい声を聞いたら、思わず涙が出てきて、あたしは陽人にお父さんとの出来事を喋った。
それを聞いた陽人はあっさりと言った。
『それは澪が悪い』
って。
確かにあたしが悪いかもしれない。
陽人の言葉が胸にグっと刺さった気がした。