今日は陽人の部活が休み。
一緒に帰るのに下駄箱の前で待っていると、陽人がのんびり歩いてきた。
「人参食べた?」
お弁当箱を帰りに渡されるのも日課。
陽人は必ずお弁当箱を洗ってくれる。
「すっげーまずかった!!もう入れるなよ」
そんな陽人の耳をまじまじと見ると、左耳に絆創膏がはられている。
「陽人、ピアス開けたの?」
あたしが聞くと慌てた様子で耳を隠した。
「秋くんも開けたらしいけど、なんで?」
あたしの素朴な疑問にも困り顔。
「陽人?」
「えー・・・あー・・・、その・・・。先輩に開けろって言われて・・・ノリで開けちゃったっていうか・・・ごめん」
謝ることではないけど・・・。
悪いことだってことはわかってるんだ。
「別にいいけど・・・。陽人のせいであたしまでピアス開けることになっちゃったんだからね」
ちょっとむくれて言ってみる。
「え!?澪が!?なんで?」
ビックリしながら陽人が聞いてきたから、真由とのやりとりを説明した。
「真由、そんなに怒ってるのか・・・。澪も怒ってる?」
「あたしは怒ってないよ」
陽人はしばらく考えているのか歩調がゆっくりになる。
あたしもそれに合わせてゆっくり歩く。