しばらくして、遠くから真由っぽい笑い声が聞こえた。


その瞬間、陽人があたしからパって離れた。


「陽人・・・?」


浴衣の袖で顔を隠している。


でも耳が真っ赤。


「ごめん・・・」


「え?」


「ちょっと・・・いや、なんでもないから・・・その・・・」


全然顔を見せてくれない。


「う・・・ん」


「忘れて」


「陽人?」


「いや、マジ忘れて」


そのまま歩いて行ってしまう。


忘れてって・・・。


そんな忘れれるワケないじゃん。


さっきまで・・・。


そう思うとあたしの顔も赤くなる気がした。


ドキドキしすぎて、心臓がうるさい。


浴衣の隙間から見えた陽人の表情。


そんなの見て忘れるなんて無理だよ。