「澪」
「ん?」
陽人が首をポリポリかいてる。昔からのクセ。
何か言いたいとき、陽人はすぐ首をかく。
「オレさ・・・」
「うん」
長い沈黙。
陽人は何が言いたいんだろう?
あたしは陽人から視線を外して、星空を見た。
山からの星はなんだか近くて降ってきそうっていうか、手を伸ばしたら届きそうな・・・。
空は澄んでて星が視界いっぱいに広がっている。
ふいにフワって後ろから人のぬくもり感じる。
「え・・・?」
陽人が後ろからあたしを抱きしめた。
陽人の匂い・・・。
「陽人?」
やめてよ・・・。
ドキドキするよ・・・。
「ちょっとだけ・・・」
陽人が聞こえないくらい声で言った。
「・・・ちょっとだけこうしてていい?」