信じられないことに、叔父は母を前にしても、コタツの中でわたしに触れるのをやめなかった。


『あっちでお布団を用意してるんですけど』

『いや、いい。眠いから今日はもうここで寝る』

『葵は……』

『ぐっすり眠ってるから起こさん方がいいよ』

『そう』


叔父の言葉を信じ込み、母はリビングから去っていった。


母によって閉じられた扉の音を、たぶんわたしは一生忘れないだろう。


それは6歳からくり返されてきたことの、縮図のような瞬間だった。





何度、自分に問いかけたかわからない。


声を上げて助けを求めていればよかったのか。

抗うことなく受け入れたわたしが悪いのか。


考えれば考えるほど、怒りの矛先は自分へと向いていく。



相談なんか、できるわけがなかった。

もし事実を知れば大人は汚いものを見るような目でわたしを見るに違いない。


その目を、わたしは簡単に想像することができたのだ。


鏡を見ればいつもそこに映っていたのだから。