汗ばむほど熱いコタツの中で、叔父の手が動いた。


触られている――。

そう気づいた瞬間、まるで分厚い膜が破裂したように、脳の中で記憶が飛び散った。


そのときのイメージを、わたしは鮮明に覚えている。


音のない爆発だった。

引きちぎられた肉片のように記憶があちこちに飛んで付着し、わたしの体を汚していった。


叔父の手の動き。息遣い。眠ったふりをするわたし。

砂壁の感触。入浴剤。色あせた窓際の畳。


そう。
そうだった。

わたしは、過去にも同じことをされていたんだった。





6歳の時わたしに降りかかった恐ろしい出来事は、その後も叔父の家でくり返された。
 

それが何回くらいあったのか、思い出せない。

記憶はよみがえったものの断片的で、悪い夢だと言われれば、そう信じられなくもない気がした。


だけど覚えている。

母の車に乗せられて叔父の家に向かうとき、何も知らずに送り届ける母を憎んでいたこと。