『アカンよ、葵はまだ高校生なんやから』


たしなめる母の口調は、ちっとも説得力がない。

まあ今日くらい良いじゃないか、という空気が漂っていた。


グラスになみなみと日本酒を注がれ、一杯飲み終わる頃には眠気に襲われていた。


すでにコタツでうたた寝している親戚もいて、それに誘われるようにわたしも横になった。





ふと目が覚めたのは、いつの間にか年を越した後。

さっきまでのにぎやかな宴は終わり、みんな寝静まって静かだった。


晩餐のあとの、酒やタバコの匂いが混じったリビングに、すでに人はいなかった。


……わたしと、そして隣で寝る叔父以外は。