翌朝。

目が覚めると叔父はもう出勤して居なかった。


いつも通りの朝は、変わらないわたしを連れてくる。


昨夜はきっと、何もなかったんだ。そう思った。


台所に行くと叔母さんが食パンと目玉焼きを焼いてくれていた。


『葵ちゃんが泊まるようになってから、おばちゃんもパンが好きになったんよ』


楽しそうに朝食の準備をする叔母さん。

テーブルには、2種類のジャムとバターがある。

食パンの右半分に苺ジャムを、左半分にバターを塗ってくれた。


『ありがとう……』


言ったとたん、申し訳ない気持ちが襲うようにこみ上げた。


わたしはそれ以上何もしゃべらないよう、パンを口に詰め込んだ。

急いで食べると、テーブルの上にぽろぽろとパン屑がこぼれた。