夜中に目が覚めたのは、体に違和感を覚えたからだった。


寝相の悪い姉が蹴ってきているのかと思い薄目を開けると、隣の布団で寝息をたてる叔母さんの姿が見えた。


ああ、そうだ、
今日はお姉ちゃんたちと一緒じゃなく、ひとりで泊まりに来たんだった。

そう思い出して、ふと気づく。


――じゃあ、これは誰? 


今わたしの体を触っているこの手は、誰?


いっきに全身の筋肉が硬直し、動けなくなった。

頭どころか目線さえも動かせず、左側の人影が、かすかに動くのだけがわかった。


右には叔母さん。
そして左には、叔父さん。

まるで家族のように、いつもわたしを間にはさんで寝てくれて……。



ちゃんと覚えているのは下腹部の痛み、それだけだ。

嫌悪を感じるほどわたしはまだ性に関する知識を持ち合わせていなかった。


怖いと思う気持ちは、あったかもしれない。

頭がぼぅっとしていた。


それでも「やめて」とは言わず、悲鳴すら上げず、ひたすら眠ったふりをしていた。


もしわたしが気づいたことがバレたら、大変なことになってしまう。


行為の意味はわからずとも、周囲に知られてはいけないことだと、本能が教えた。