泊まるときはだいたい姉たちも一緒だ。

微塵の遠慮もなく、3人でどかどかと押しかけた。


叔父の家は居心地がよかった。


狭い玄関をくぐれば、いつもバスクリンの匂いがしていた。


古くなった砂壁をなでると、ポロポロと大粒の砂が落ちた。


窓際の畳だけが色あせてまだらになり、その部分が好きだった。



わたしの中に家族像というものがあるのなら。
叔父の家で過ごした時間が、一番近いように思う。



だけどそれは、6歳の春に壊れてしまった。