お願い。誰か。

わたしを助けて。


怖くて仕方がないの。

助けてよ。

誰か。


“誰か”――





携帯を開いてみたら、電池が切れていた。

財布に入った小銭と、海の家のそばの公衆電話しか、なかった。 


わたしは百円玉を取り出して受話器をあげた。


友達の番号なんか、知らない。

実家にも、かけられない。


震える人差し指は、一生使うことがないと思っていた11ケタの番号を押していく。