「だってセックスって、愛情表現やんか」

「……そうやね」


会話はそこで途切れ、わたしは再び仰向けでベッドに倒された。


与えられる快楽は、肌の表面を横滑りして、やがて浸透する。

体温は上がるけれど、心までは熱くならない。

でも、脳はしびれる。


麻痺する瞬間を、わたしはいつも待っている――。





2回目のセックスのあと、ヒロトは吸い込まれるように眠りに落ちていった。


薄暗い部屋でわたしはタバコを探した。

ライターで火をつけると、少しだけ部屋が明るくなった。

気だるそうに身体を投げ出して眠るヒロトを、一瞥した。


いったいいつまで、わたしはこんなことを続けていくんだろう。



服を着て、先にホテルを出た。

終電はとっくに過ぎていたから、タクシーを拾う。


シートにもたれると眠気が襲ってきたけれど、なぜか目を閉じるのが怖くて、ずっと窓の外を眺めていた。


しばらくすると見慣れた町にきた。

大通りから、予備校の看板が見える。

そして、駅。


その前を通り過ぎようとしたときだった。


「……止めてください!」


わたしは叫んだ。