その晩、ヒロトは2回わたしを抱いた。


1回目と2回目の間に、ベッドに寝転んだままビールを飲み、

「葵とは体の相性がいいと思う」

と彼は楽しそうに言った。

相性がいいとか悪いとか、わたしにはよくわからなかった。


仰向けに寝転ぶわたしの上にヒロトが被さってきて、ビールを口移しされた。

もう1回したいのだと、わかった。


「ねえ、もしも……」


わたしは唇を離して言った。


「もしも、ヒロトが付き合った女の子が、セックスできない人だったらどうする?」

「え?」

「それでもそばにいたい、なんて思わへんよね」


妙な質問をするわたしに、ヒロトは困った顔をする。


「……ごめん。気にせんといて」


わたしは起き上がり、ベッド脇に置いてあった缶ビールを飲んだ。


炭酸が口の中ではじける感触を味わっていたら、後ろからヒロトの手が伸びてきて、胸を触られた。


「んー。俺は正直嫌やな。セックスなしの付き合いは」

「……」