太陽はさっきよりも高くなったみたいだ。
 

昼下がりの公園は、わたしの他に誰もいない。


照りつける日光に目を細め、見上げれば真っ白な飛行機雲。


それはまるで、遠く離れた人とつながる橋のようで――。

 


「……瑠衣」
 

今でも、何度でも、
わたしは呼びかける。


「ねえ、瑠衣」


世界一愛しいその名前を。



「いつかもう一度……

わたしと出会ってくれる?」

 



飛行機雲が
青い空に溶けてゆく。


それを見届けてわたしはゆっくり目を閉じた。
 



まぶたの裏に残った雲は
いつも夢で見る、

虹に似ていた。










【END】