卓巳は痛みをこらえるような表情で、だけど口元は優しく微笑んでくれた。
「謝ったらもう終わりみたいやんか。そんなん俺は納得せえへんで」
「卓巳、でも……」
「いいから」
するっと腕が解けた。
「これは、俺の気持ちの問題。葵は自分の気持ちの整理をつけに行ってきたらええよ」
「卓巳……」
「俺な、正直に言うと、お前とあいつの仲に嫉妬も心配もしたけど、ちょっと応援してたんやで。
高校んとき俺が葵にしてあげられへんかったこと、そいつに託してたんかもしれんな」
10年分の想いがこもった卓巳の言葉。
強がりだとわかっていても、その笑顔はどこまでも優しい。
思わず涙ぐみそうになった。
それがバレる前に、わたしは背を向けた。
「葵っ」
走り出すわたしの後ろで、卓巳の声が響いていた。
「俺はしぶとい性格やから、お前が帰ってくるの待ってるから」
どこまでも温かいその人の手を振り払って――わたしは、彼のもとに行く。
「謝ったらもう終わりみたいやんか。そんなん俺は納得せえへんで」
「卓巳、でも……」
「いいから」
するっと腕が解けた。
「これは、俺の気持ちの問題。葵は自分の気持ちの整理をつけに行ってきたらええよ」
「卓巳……」
「俺な、正直に言うと、お前とあいつの仲に嫉妬も心配もしたけど、ちょっと応援してたんやで。
高校んとき俺が葵にしてあげられへんかったこと、そいつに託してたんかもしれんな」
10年分の想いがこもった卓巳の言葉。
強がりだとわかっていても、その笑顔はどこまでも優しい。
思わず涙ぐみそうになった。
それがバレる前に、わたしは背を向けた。
「葵っ」
走り出すわたしの後ろで、卓巳の声が響いていた。
「俺はしぶとい性格やから、お前が帰ってくるの待ってるから」
どこまでも温かいその人の手を振り払って――わたしは、彼のもとに行く。