……わたしと瑠衣が、まだ当たり前のように抱き合えていた頃。
わたしたちはベッドで寄り添い、未来のことを無邪気に語り合っていた。
「いつか男の子が生まれたらサッカーをさせたい」
と瑠衣は目を輝かせた。
「俺の子供ならきっと、将来は海外で活躍するスター選手やから。
小さいときから外国語を習わせた方がええかもな」
なぜか自信たっぷりにそんな計画を立てる瑠衣に、わたしはクスクスと笑いながら言った。
「生まれる前からそんなに親バカだったら、子供にあきれられるよ?」
くだらない――でも幸福そのものだった会話は、今では遠い夢物語。
親バカになった瑠衣を、誰よりもそばで見てみたかった。