もう少しで瑠衣に会える。
 
もう少しで……。
 
数え切れないくらいの時間を共にしてきても、会う前は毎回、胸がドキドキする。

しかも今日は初めての旅行。

心が躍るのを止められなかった。
 


連休真っ只中の新大阪は、わたしと同じように大きめのバッグを持った人がけっこういた。
 

瑠衣、まだかな。

わたしはキョロキョロと周りを見渡した。

……来てるわけないか。

まだ約束の20分前。


時間つぶしの文庫本を取り出そうとバッグをまさぐっていたら、こっちに近づいてくる人の靴が、視界に入った。


それは、わたしの前で止まった。


「おはようございます」


ハスキーな声。

背筋がぞわりとした。


「水野先生」

「……涼子ちゃん」