表示されたサイトを上からひとつひとつ開いていく。
 

答えが知りたい。
 
助かる方法が知りたい。
 
切羽詰った、もがくような想いでパソコンの画面を見続けた。
 

だけどわたしを救ってくれるような言葉は、そこには見つからなかった。



【性嫌悪症】

【性的虐待などのトラウマが原因で起こることもあり――】

【治癒率は非常に低い】


 
心臓を氷水につけたような痛みが走った。


“性嫌悪症”……何それ?
 
わたし、病気なの?


“治癒率は非常に低い”


見間違いであってほしいという希望にすがり、何度も何度もその部分を読んだ。


だけどどれだけ目を凝らしても、淡々と書き連ねられた文字は変わらなくて……。
 


気づけば上着を羽織って外に出ていた。

あのまま部屋の中にいたら、叫びだしてしまいそうだった。
 

行く所なんてない。

マンションの駐車場でうずくまる。

いつか、瑠衣がしていたのと同じように。


あの夜とは違い雪は降っていなかった。

でも空気はどこまでも冷たくて、コートをつき抜け肌を刺した。


目の前が真っ暗……って、こういう状態を言うんだろうか。 


本当に、何も見えなくなるんだね。


ねえ、好きだからずっと一緒にいたい。

好きだからいつか子供も欲しい。

なのに――好きだから抱いてもらえない。
 

そんなの、おかしいよ。
 

“治癒率は低い”……あの文字が頭にこびりついて、
急に未来が根こそぎ奪われたような気がした。
 

そのときポケットの中で携帯が震えた。