「こんな所ひとり歩きしたら危ないやろ」

「卓巳」


わたしの腕をつかんで叱ってくれたのは、卓巳だった。


……彼かと、思ったのに。


彼じゃなかった。

彼じゃなかった。


瑠衣じゃ、なかったんだ――…。



わたしは喉がつぶれそうなほど泣き叫んだ。

その場に崩れ落ち、地面に膝をこすりつけてわめいた。



瑠衣。会いたい。

ねえ、会いたいよ。


今すぐに瑠衣の顔が見たい。

名前を呼んでほしい。

もう一度笑って。

こんな場所で泣き叫ぶわたしを、しょうがないなってあきれたように笑ってよ。

その大きな体で抱きしめて、癖のある髪でわたしの頬をくすぐってよ。

ねえ、会いたい。

会いたい。


どうしてこの想いはいつまでも消えてくれないの。



自分から断ち切ったぬくもりの強さに

わたしはもう、壊れてしまいそうなのに。