――『男をバカにするんもいい加減にせえよ』


卓巳の言葉は、予備校をやめてからの3ヶ月間をわたしに思い出させた。


それはまるで、自分を切り刻むように過ごした日々だった。

どれだけの数の男と寝たか、正直、自分でもわからない。


ただひとつだけわかっているのは、どれもすべて自分の意思だったということ。


他人に強いられたものではなく、わたしの体はわたし自身が支配していたということ。



セックスした男の中には、わたしと付き合いたがる人もいた。

ちっとも好きじゃなかったけど、わたしは期待を持たせるような甘い言葉を彼に与えた。


いくらでも、残酷な気持ちになれた。



その男と3回目にホテルに行ったとき、

わたしは冷たいベッドの上に自分を放り出していた。



「葵ちゃん。俺は、誰やと思う?」


激しい息遣いの途中で、男が言った。


「葵ちゃんが今、抱き合ってるのは誰?」


真っ白の頭でその言葉を聞いた。



“誰”……?


わたしが今、
抱き合っている人は、“誰”?



つぅっと涙が頬を伝った。

何か愛しいものがこみ上げて、わたしはそっと瞳を開いた。



目の前にいたのは、
彼じゃなかった。



それ以来、その男とは会っていない。