「俺はまだガキやけど、ずっとずーっと先生といたいってまじで思ってる。
いつか本物の家族になりたいって思ってるねん」
 

真剣な瑠衣の声に、心がぐらぐらと揺れた。


ダメだよ、瑠衣。

わたしは、あなたがそうやって未来を口にすることが怖かったから……

未来を邪魔したくなかったから、離れるべきだと自分に言い聞かせたのに。


「やからさ、先生。さっきみたいな悲しいこと言わんといて。
今までの彼氏とはダメになる運命やったかもしれんけど、俺はそれを変えるくらい頑張るよ」


瑠衣はこわばるわたしの頬にそっと手を当てた。


「俺のこと信じてよ」


返事の代わりに、熱いため息が出た。

胸が詰まって
想いがあふれ出て。


瑠衣……。

弱虫なわたしがいくら逃げても、あなたは追いかけてくるんだね。

わたしがどんな気持ちで、さっきあんなこと言ったと思ってるの? 


ひどいよ。

必死の強がりさえも許してくれないなんて。



わたしは彼の胸におでこを押しつけて、言った。


「今すぐ……抱いて」


瑠衣は体を離し、戸惑いを隠せない表情でわたしを見る。


無言の彼の問いかけに、わたしは答えた。


「大丈夫やから」