ふり返ると、少しだけ息を切らした優しい笑顔の瑠衣。


「これ、プレゼント」


小さな包みを差し出された。


「……何?」

「開けてみて」


震える手でラッピングをほどき、そっと中身を取り出してみた。


……なんで? 

瑠衣、これを買うために出ていったの?


手に持って見つめたまま、わたしの頭の中は疑問でいっぱいになる。


それは、さっきまでわたしが見ていた物とよく似たデザインのマグカップだった。

ふたつ入っていた。

ひとつは同じくらいの大きさで、もうひとつは、子供用の小さいサイズ。


「片瀬くん、これって」


うまく声がでない。


瑠衣はわたしの手からマグカップを取ると、テーブルに置いた。

そしてクリスマスのときの物も一緒に並べ、


「こうすると家族みたいやろ?」


とやわらかく笑った。


「家族……?」


わたしはもう一度テーブルに視線を落とす。


大きさの違う3つのマグカップ。


まるで本当に家族が集う、食卓のような――。