卓巳とはその後すぐに別れた。


『もう俺のことは好きちゃうんか?』


そう聞かれ、好きだと答えた。


心の底から、愛してる。



愛する人は、大切な人。

大切な人は、壊したくない人。

そしてセックスとは、大切な人との関係を壊すもの。


そんな考えはおかしいと正常な人間は言うだろう。


だけどわたしの頭ではなく心が、体が、そう訴える。



お願い、愛しているから、

わたしに触れないで。

あんな行為をあなたはしないで、と。



それからも何度か人を好きになり、付き合って、セックスもした。

まだ相手のことを好きになりすぎていないときは、触れられることに抵抗がなかった。


だけど愛がしだいに大きくなると、わたしはその人の体を受け入れられなくなる。


一番触れ合いたいはずの人が、

一番触れられたくない人に変わってしまう。