「だって全然連絡くれへんから心配になって。
どっか行ってたんですか?」

「あ、うん。実家に」


その言葉を聞いて、瑠衣の瞳に不安の色が差した。


「実家って……。大丈夫やったん?」

「あの人はおらんかったから」

「そっか」


ほっと息をつく瑠衣。

その息の白さにわたしは驚いた。

こんな寒い中で、いったいどれだけ待っていたんだろう。


「部屋、あがって」

「でも」

「いいから」


わたしは遠慮する瑠衣の背中を押して、マンションに入った。




部屋の鍵を開け、暖房を入れると、たった一日ぶりなのに自分の居場所に帰ってきたのだと感じて少しホッとした。


瑠衣はソファの端っこにちょこんと座り、こちらを見ている。


「先生から連絡なかったとき、すごい寂しかったんやで?」

「ごめんね」