「先生、危なっかしすぎ」

「……片瀬くん」


助けてくれたのは、瑠衣だった。


「なんで?」

「さっき着いたから端っこで見てたんです。とりあえず、出よ」


そう言うと瑠衣はわたしの肩に腕をまわし、周りから守るようにして出口まで連れて行ってくれた。


転びかけたことよりも、突然彼が現れたことよりも

つかまれている肩が熱くて心臓がどんどん速くなった。





「なんで先生まで来てるん?」


ライブハウスの外の階段までわたしを連れて行くと、瑠衣は少し不機嫌そうに言った。


「なんでって……誘われたから」

「俺がおらんときにこんなとこ来たら危ないやん。
ただでさえも先生はチビやねんから」

「ち、チビって」


そもそもあんたが涼子ちゃんとの約束を破ったせいで、わたしが来るはめになったんでしょ。

と心の中で文句を言って、大事なことを思い出した。