【不在AM09:22―涼子】

【不在AM10:18-涼子】

【不在AM10:50-涼子】



一瞬、目を疑った。


画面を埋めるようにずらりと並んだ同じ名前。

見てはいけないものを見た、直感的に、そう感じた。


これって――まさか、いや、そんなわけがない、でも。


ふたつの思考がせめぎ合い、頭の中に濁流が生まれる。


愕然とするわたしを追い詰めるように、携帯がまた音を立てた。

ビクッと体を震わせ、わたしは反射的に電源ボタンをオフにした。


やっと静かになった部屋。

だけどこんどは涼子ちゃんの言葉が、しつこい耳鳴りのように、鼓膜にこびりついて離れない。



――『明日、電話で告白してみようかなあって』



わたしは携帯を握ったまま壁に背中を預け、ずるずると崩れ落ちた。