「あ~もう。急いで飲むからやで? 火傷しても知らんよ?」


ぶつくさ言うわたしに、瑠衣は笑いをこらえたような表情になる。


「……何?」

「いや、なんか、あのときと立場が逆やなあって思って」

「あのとき?」


すぐに、栗島くんたちと入ったファーストフード店のことを言っているのだと分かり、わたしは瑠衣の胸元にパンチを入れた。


「あれは片瀬くんたちが、からかったせいやんか」

「人のせいにするん? 先生ってしっかり者に見えて、けっこうドジキャラなんですよね~」

「ほ、ほっといてよっ!」


そっぽを向こうとしたわたしの耳元に、瑠衣の手のひらが触れた。