それからわたしたちは近くの自販機でホットドリンクを買い、またベンチに座った。

少し離れたところにファミレスの灯りが見えていたけれど、そっちに行こうとは思わなかった。


「時間、大丈夫?」

公園の時計台を見上げ、わたしはたずねた。


「うん。俺は平気」

「片瀬くんちってホンマに放任なんやね」

「昔はめっちゃ厳しかったんですけどね」


瑠衣は紅茶のプルトップを開けて、そこにフーッと息を吹き込んだ。


「でも俺が高校に入ったくらいから、急に放任になったんです。
たぶん、それなりに一人前と認めてくれたんかなあ、なんて」


自分の言葉に恥ずかしくなったのか、瑠衣は照れ隠しのように紅茶を一気に飲みこんだ。


「熱っ!」

「大丈夫?」

「うん……」


熱そうに舌を出して、唇から缶を離す瑠衣。


紅茶がこぼれて彼の口元が濡れていた。

わたしはハンカチを取り出し、そこを拭ってあげた。