――『あまり男子生徒と親しくしない方が、賢明だと思いますよ』


さっき受けたばかりの忠告が、現実として迫ってくる。


「あ~っ、先生、そんなに思いつめんといて下さいよ」


涼子ちゃんはわたしの両肩に手を置いて、ざっくばらんな声で言った。


「大丈夫! わたしも先生に話しかけるようにするから」

「……え?」

「だって先生の周りって、男子ばっかりでしょ?
それでよけい悪口言われるんやと思う。

もっと女子が周りにいればマシなんやろうけど、たぶん水野先生って、女子からは誤解されやすいタイプやと思うし」


「……」


「やから、先生の周りに男子がいるときは、なるべくわたしも近くにいるようにします」


……びっくりした。


7歳年下の女の子から、まさかこんなことを言われるなんて。

まるで、いつかのファミレスの瑠衣みたいだ。


以前のわたしならきっと笑ってしまっただろう。


だけど、今は――


「あの…ありがとう」

「いえいえ」


涼子ちゃんはサバサバとした笑顔で首を振った。