瑠衣と知り合ってから、生徒たちとの距離がぐっと縮まったような気がする。

今までは必要以上に近づかないよう気をつけていた。

少しむきになって壁を作りすぎていたのかもな、と気づいたのは最近だ。

話してみると彼らは皆いい子だった。


「あ、先生。あとでまた職員室に行ってもいいですか?」

瑠衣は鞄から大学ノートをのぞかせて言った。


「うん、いいよ」

「勉強熱心やなあ、瑠衣は」

栗島くんが感心したようにため息をつく。


「ちゅーか、お前もたまには勉強しろや。
バンドばっかりしてると大学どころか進級もできへんぞ」

「うわあ、瑠衣が俺のオカンと同じこと言う」


げんなりした叫び声と、笑い声が廊下に響いた。


17歳という微妙な年齢の彼らは、実際よりも自分を大人として認識している部分もあれば、時として思いっきり子供の振る舞いをすることもある。


見ているとなんだか懐かしくて、くすぐったい気持ちになった。