「あ……すみません」
思わず先生に見惚れてしまった。
先生は、放課後の貴重な時間を、あたしのために割いてくれてるというのに。
真面目にアドバイスを聞かないでどうするの、バカ。
「あと、ここ。一文が長すぎるのは良くないって教えたよね。原稿用紙で3行以上超える場合は、程よく区切ること」
「わかってはいるんですけど、うまく区切れなかったんです」
先生の教えを忘れるわけない。
『だと思う』とか『かもしれない』とか、
曖昧な表現は避ける。
主述を呼応させること。
係り受けを整えるとか。
一応頭には入っているのだけど、うまく実践で活かせない。
正直な気持ちを伝えると、先生は「んー、そっかぁ」と何やら考え始める。