「ああ、さっき帰ったよ」


職員室に先生はいなかった。


近くにいた先生に聞いてみると、先ほど帰ったとのこと。


「あ……ありがとうございました」


一礼してから、あたしは肩を落としながら職員室を出た。


先生……会いたかったのに。


でも当たり前だよね、
こんな遅くなっちゃったんだから。


まあいいや、また明日があるし。


そう思い、学校を出た時だった。



「先生!」



高い澄んだ声が耳に届く。


そのすぐあと、目の前を女の人が横切った。


確かあの人は……一年生の英語を担当してる先生だ。


もしかして誰かと一緒に帰るのかな。


気になって、先生のあとを追うことにした。


そんなことしなければ、と後悔することになるなんて。



この時のあたしはまだ知らない。